もち米と聞くと、お正月やお祝いごとのときに食べる、少し特別なお米を思い浮かべる方も多いかもしれません。たしかに、赤飯やお餅、おこわなど、もち米は「ハレの日」の食卓によく似合います。けれど実は、もち米の魅力はそれだけではありません。
ふっくら蒸し上がった湯気の香り。口に入れたときのもっちりした食感。噛むほどに出てくるやさしい甘み。もち米には、毎日のごはんとはまた違う、どこかほっとするおいしさがあります。
今回は、御稲プライマルへのインタビューをもとに、もち米とはどんなお米なのか、どんなふうに食べるとおいしいのか、選ぶときは何を見ればよいのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。
もち米とは、手をかけておいしくなるお米
ふだん私たちが主食として食べているお米は「うるち米」です。炊いて茶碗によそい、そのまま食べる、いちばん身近なお米ですね。
それに対してもち米は、そのままごはんとして食べるというより、ひと手間かけて楽しむお米です。赤飯にしたり、おこわにしたり、おはぎにしたり、お餅にしたり。手をかけるほど、もち米ならではの持ち味がぐっと引き立ちます。
もちろん炊いて食べることもできますが、もち米の良さがいちばんよく出るのは、やはりその粘りと、もっちりとした食感を生かした料理です。炊き上がったときのまとまり方、口の中で感じる弾力、噛んだときに広がる甘みは、うるち米とはまったく違います。
毎日のごはんとは別に、食卓に少し楽しみを足してくれるお米。それが、もち米なのだと思います。
もち米の特徴は「白さ」と「粘り」
もち米を初めて選ぶ方にとって、いちばんわかりやすい特徴は見た目です。
うるち米は、少し透き通るような半透明の粒をしていますが、もち米は全体に白っぽく見えることが多いです。袋に入った状態でも、なんとなくやわらかい白さがあるので、見慣れてくると違いはわかりやすくなります。
ただ、白ければ何でもよい、というわけではありません。乾燥の具合によって見え方に違いが出ることもありますし、少しうるち米に近く見えるものでも、もち米としての性質をちゃんと持っていることはあります。見た目だけで決めつけず、「そのお米らしさ」があるかを見ることが大切です。
そして、何よりはっきり違うのが粘りです。炊いたとき、混ぜたとき、食べたとき。もち米はとにかく粘りが強く、もっちりとした食感があります。手に取ったときの重たさや、口の中でのまとまり方も、うるち米とは別物です。
同じ「お米」と呼ばれていても、食べ比べればすぐに違いがわかる。それくらい、もち米にははっきりとした個性があります。
もち米のおいしさは、噛むほどに広がる甘みと旨みにある
もち米のおいしさはどこにあるのかと聞かれたら、まず思い浮かぶのは、やはりあの独特の食感です。しっかり粘りがあるのに重すぎず、噛むほどに甘みと旨みが出てくる。あの感じは、もち米ならではです。
実際に、御稲プライマルでも「甘みがあっておいしい」「味が濃い感じがする」といった感想をもらうことがあるそうです。なかには一年中もち米を買ってくださる方もいるとのことでした。もち米は、年末年始だけのものではなく、好きな方にとっては季節を問わず食べたくなるお米なのです。
また、もち米はひとくちにひとつではありません。品種によって、餅に向くもの、蒸しておいしいもの、伸びや腰が出やすいものなど、それぞれ違いがあります。だからこそ、もち米の世界は奥深く、食べ方によっても楽しみ方が変わります。
もち米のおいしい食べ方は、やはり赤飯、おこわ、餅、おはぎ
もち米のおいしさをしっかり味わうなら、まずは定番の食べ方がおすすめです。赤飯、おこわ、お餅、おはぎ。どれも、もち米の粘りや甘みをきちんと感じられる料理です。
今回のお話の中で印象的だったのは、「お母さんの赤飯がいちばんおいしい」という言葉でした。特別な味付けをしなくても、炊き方や仕上げ方で、もち米のおいしさは大きく変わるそうです。とくに蒸して仕上げたものは、余分な水分を含みすぎず、粒感が立ちながらも、しっかりもちもちしていて、噛みごたえのあるおいしさになるといいます。
一方で、家庭で気軽に作るなら炊飯器も十分おすすめです。炊飯器で炊くと水分が残りやすく、しっとりやわらかく仕上がるので、おはぎのように丸める料理にも向いています。初めてもち米を扱う方にとっては、炊飯器の方が気軽で失敗しにくいでしょう。
さらに、餅つき機がなくても、炊いたもち米を茶碗の中ですりこぎなどでついていけば、家庭でもお餅らしい状態に近づけることができます。最近ではホームベーカリーにもそうした機能が付いていることがあり、昔のような大きな道具がなくても、もち米を楽しむことができる時代になっています。
もち米は、食べものというより「家族の時間」かもしれない
もち米の話を聞いていて、いちばん心に残ったのは、もち米がただの食材ではないということでした。
昔は、お正月が近づくと餅つきをしたり、蒸したもち米の香りが家の中に広がったり、丸める手伝いをしたり。そういう時間そのものが、家族の思い出になっていました。蒸しているときの匂いを今でも覚えている。つく前のもち米で握ったおにぎりが好きだった。そんな記憶が自然と出てくるのは、もち米が「食べる」だけでは終わらない存在だからだと思います。
今は、家で餅をついたり、おこわを作ったりする機会が少なくなったかもしれません。それでも、年に一度でもいいから、家族で一緒にもち米を炊いてみる。丸めてみる。食べてみる。そういう時間があるだけで、食卓は少し豊かになる気がします。
もち米には、味だけではなく、手を動かして一緒に作る楽しさがあります。そういう意味では、もち米は「食べもの」であると同時に、「家族の体験」でもあるのかもしれません。
もち米を選ぶときは、精米時期をよく見たい
では、実際にもち米を買うときは、どこを見ればよいのでしょうか。
御稲プライマルでは、いちばん大切なのは「精米時期」だと話していました。もちろん、何年産かも目安にはなりますが、それ以上に、精米してからあまり時間がたっていないものの方が状態がよいことが多いそうです。玄米で保管して、必要に応じて精米したものは、風味も感じやすくなります。
また、もち米とうるち米が混ざっていないかを見ることも大事です。通常はきちんと分けて扱われていますが、機械の中に残っていた粒が混ざることも、絶対にないとは言い切れません。もち米は白っぽく、やや丸みがあり、うるち米とは形も印象も違います。見ていて明らかに違う粒が混ざっていると感じたら、避けた方が安心です。
大事なのは、「新しく精米されたものか」「そのお米らしい粒ぞろいになっているか」。このあたりを意識するだけでも、選び方はだいぶ変わってきます。
御稲プライマルが育てるもち米の強み
御稲プライマルでは、長年「こがねもち」にこだわって栽培を続けています。こがねもちは、もち米の王様ともいわれる代表的な品種で、お餅にしたときの伸び、腰、粘りのよさに定評があります。
長く同じ品種を作り続けてきたということは、それだけその土地に合っていて、育て方の勘どころも積み重なっているということでもあります。とくに、こがねもちは早生系の品種でもあるため、それに合わせた肥料管理が必要になるそうで、毎年ただ同じように作ればよいわけではありません。
また、本宮の地域は水が豊富です。朝霞疏水をはじめ、川の水や伏流水など、土地に応じて使える水があり、地形に合わせた栽培ができる環境があります。お米づくりは、土だけでなく水で決まる部分も大きいので、こうした環境の良さは大きな強みだといえます。
日当たりがよく、寒暖差があり、水にも恵まれている。そんな土地で、長年向き合ってきたもち米だからこそ、食べたときに「これがもち米だ」とはっきり感じられるのだと思います。
まとめ
もち米とは、うるち米のように毎日の主食として食べるお米というより、赤飯やおこわ、餅、おはぎなどにして楽しむことで、その魅力がより引き立つお米です。白くやわらかな見た目、強い粘り、噛むほどに広がる甘みと旨みは、もち米ならではのおいしさです。
選ぶときは、品種や産地はもちろん、精米時期にも目を向けてみてください。そして、せっかくもち米を使うなら、ただ食べるだけではなく、作る時間ごと楽しんでみるのもおすすめです。
御稲プライマルが大切に育てているこがねもちには、昔から日本の食卓にあるあたたかさと、今の暮らしにもなじむおいしさがしっかり詰まっています。もち米をまだあまり身近に感じていなかった方こそ、一度そのおいしさに触れてみていただけたらうれしいです。
記事の監修者

後藤 正人(ゴトウ マサト)
御稲プライマル株式会社
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