農薬や化学肥料を減らして健康的に育った特別栽培米は、玄米で食べるのもおすすめ。栄養価が高く健康面に優れ、そのうえ安心しておいしく食べられる特別栽培米・玄米の魅力を探ります。
自然の力が引き出される特別栽培米
はじめに特別栽培米とはどういったお米なのかを説明します。特別栽培とは、農水省が定める農薬や化学肥料の使用基準をクリアした農産物につけられる名称です。
具体的には農薬と化学肥料の使用基準、成分基準がそれぞれ通常の5割減と決められており、その基準を満たして栽培され、かつ農水省の認定を受けたお米だけが特別栽培米ということができます。(注※基準値は地域によって異なります。また、ほかにも細かな栽培基準があります。)
このようなルールのもとで育てられる、特別栽培米の第一の魅力は、健康的に育ったお米を食べられるということ!
通常よりも農薬や化学肥料の使用を減らして栽培することで作物自身に育つ力がつきます。その結果、甘みやこくといった味わいの強さにつながると私たちは考えています。実際に当社の食味テストでは、特別栽培米の方が慣行栽培のお米と比べて、より香りと甘みがあるとの結果がでています。
また、厳しい栽培基準でつくられているので、安心して食べられるといった点も大きなアピールポイントです。
◯特別栽培米については、こちらの記事をご参考にしてください!
「特別栽培米」って何?どんなお米なの?米づくりのプロが詳しく解説します
玄米とはどんなお米?白米や分づき米との違い
近年、健康志向の高まりで注目されている玄米ですが、まずは玄米とはどういうお米なのか、白米や分づき米とはどのような違いがあるのか見ていきましょう。
実った稲は収穫と同時に脱穀します。脱穀とは稲穂からお米の部分を取りはずすことですが、このお米の状態をもみ(種もみ)といい、ここからもみ殻を取り除いたものが玄米です。玄米は皮やぬか層(米ぬか)でおおわれていて、この米ぬかを取り除くと白米になります。
一方、まわりのぬか層をある程度残して精米したものが分づき米になります。白米を100%として、精米歩合(ぬか層を削る割合)が50%だと5分づき米、70%だと7分づき米です。白米の状態だと表面にまだ薄くぬかが残っているのですが、これをさらに磨くと無洗米=米を研いだ状態となります。
つまり、精米歩合の少ない方から「玄米<分づき米(3分・5分・7分)<白米<無洗米」で、この精米の違いがお米選びの重要ポイントになってきます。
玄米食の大きなメリットは健康面にあり
一般的に食べられている白米は、玄米を精米したものですが、精米の過程で「ぬか層」と「胚芽」が取り除かれます。
このぬかや胚芽にはビタミン、ミネラルといった様々な栄養素がたっぷり含まれているので、精米しない玄米は白米に比べて栄養価が高く、スーパーフードともいわれています。
玄米に多く含まれている食物繊維は、便秘予防、整腸、血糖値やコレストロールの抑制に効果的な大切な食物成分です。
現代の食生活では不足しがちといわれ、健康維持のために積極的な摂取が推奨されています。かみ応えがある分、咀しゃくの回数が増えるという面でも、玄米食は健康にいいといえます。
その一方でデメリットとしては、よくかんで食べないと消化不良をおこす場合があるので注意が必要です。食べ慣れるまでは少しずつ試すことをおすすめします。
まだまだたくさんある!玄米のメリット
[caption id="attachment_1091" align="aligncenter" width="579"] 特別栽培米の玄米と白米の違い|御稲(みいね)プライマル[/caption]
栄養豊富で健康志向の方に人気があるイメージの玄米ですが、ほかにも優れたメリットがいくつかあります。健康にいいだけではない玄米の魅力をご紹介します。
魅力1.鮮度のよい白米が食べられる
白米や分づき米をおいしく食べるには玄米をその都度精米するのが一番です。白米の状態は酸化しやすく、どうしても日に日に味が劣化してしまいます。一方で、玄米は保存に適しているのでお米をまとめ買いしたい方、おいしいごはんを食べたい方におすすめです。
白米党の方もぜひ一度玄米を購入して、ご近所の精米所や家庭用精米機で精米したばかりの新鮮なごはんをお試しください!味の違いに驚くはずです。
魅力2.その日の気分で食べ方を選べる
ご自宅に家庭用精米機があれば、その日の体調や気分、おかずに合わせてごはんを玄米、分づき米、白米から選んだり、白米に玄米を混ぜるという食べ方もできます。最近は家庭用精米機の性能がよく、お手頃な価格になっているので、入手されると日替わりで色々なごはんの食べ方ができ毎日の食事がとても楽しく豊かになります。
さらにご自分で精米すれば新鮮なぬかが手に入るので、様々な活用ができてお得といった点も。例えばお菓子づくりに利用すれば、ぬかや胚芽の栄養を余すところなくたっぷり摂取することができます。
魅力3.自宅で発芽玄米や寝かせ玄米をつくる
玄米よりもさらに栄養価が高いと注目されている発芽玄米ですが、玄米を購入すればご自宅でつくることができます。玄米はいわゆるお米の種なので水につけておくと発芽しますが、発芽する際に胚芽(芽がでる部分)に栄養パワーが集中することから玄米より栄養価、ギャバ(GABAアミノ酸の一種で健康に良いと注目されている成分のひとつ)が高くなるのです。
寝かせ玄米も栄養価の高さとやわらかくもちもちとした味わいが特徴で、玄米よりも食べやすいと人気があります。
こちらは小豆と塩と一緒に炊いてから数日間保温をして発酵させてつくることから酵素玄米ともよばれています。
様々な楽しみ方ができるのも玄米の魅力です。
魅力4.環境にやさしい
お米のとぎ汁が川や海の汚れの原因のひとつであり環境によくないという自然保護の観点から、とぎ汁の出ない玄米食を取り入れている方も多くいます。
魅力5.食感がよくおいしい
健康にいいといっても毎日食べるごはんはおいしさが重要ですよね。玄米は食べづらい、おいしくないという印象を抱く方も多いですが、反対に味が好きで食べているという根強い人気もあります。ぷちぷちっとした食感、もちもちとしたかみ応え、よくかむことで口に広がる甘みなど白米とはまた違ったおいしさがあります。
おいしい玄米を食べるには炊き方に少しコツがいりますので次でご紹介します。
お米農家が教える玄米をおいしく食べるためのコツ~炊き方・食べ方・保存方法~
◯研ぐ
[caption id="attachment_1093" align="aligncenter" width="579"] 特別栽培米_玄米を研ぎ方|御稲(みいね)プライマル[/caption]
玄米はぬかをとる研ぎ方ではなく、ゴミをとるイメージで回すようにして研ぎます。浸水時間を十分にとれない場合やお好みに応じて、金ザルで外皮を傷つけるように研ぐと水の浸透がよくなります。
◯浸水※浸水時間の目安は24時間/水の量は白米と同じ玄米は外皮が固く水が浸透しにくいので下準備が大事です。しっかり水分が入るともちもちの食感になります。水分を入れるには、水に長い時間浸けておく方法と皮に傷をつけて浸水させる方法があります。
私たちのおすすめは前者で、食感がよく炊きあがります。後者の方法は十分な浸水時間がないときに。金ザルなどで玄米の皮を破るイメージで研ぐと外皮に傷がついて中心まで浸水しやすくなります。お好みで試してみてください。
◯炊き方※火加減や炊飯時間は白米と同じ玄米を炊くときは圧力がかかった方が中までしっかりふっくら炊けるので、圧力釜や土鍋を使うと上手に炊けます。最近の炊飯器には玄米モードがあるのでそちらを使うと手軽に玄米食が楽しめます。
◯食べ方そのままだと食べづらいと感じる方は、塩をふって食べてみてください。塩や豆との相性がいいので炊き込みご飯もいいですし、スープに入れて食べると玄米がやわらかくなって食べやすいです。これは味が色々変えられて手軽に楽しく食べられるので、私たちお気に入りの食べ方です。炊き上がってすぐに食べない分は炊飯器に入れたままではなく小分けに冷凍するのがおすすめ。食べるときに電子レンジで温めればおいしい玄米が食べられますよ。
◯保管方法高温多湿、直射日光を避けられる場所で保管してください。温度は14~15℃がベスト。シンク下や少し寒いですが冷蔵庫の野菜室、ワインセラーなど、できるだけ空気の変化がなく温度が一定の場所がいいです。ペットボトルやビンに入れて冷蔵庫に入れると密閉性があり温度を一定に保ちやすいのでおすすめしています。
◯特別栽培米の美味しい秘密は?こちらの記事が参考になります!
特別栽培米は普通のお米よりおいしいの? お米づくりのプロがおいしさの秘密を解説
教えて後藤社長
Q. 特別栽培米の玄米をどのような方に食べてもらいたいですか?
A.当社の特別栽培でつくった玄米は甘みがあって食感もいいです。玄米に興味があるけどまだ食べたことがない方にぜひ一度試していただきたいですね。
それから玄米は食べづらいんじゃないか、おいしくないんじゃないか、農薬がついているんじゃないかといったマイナスイメージが多いのですが、全くそんなことはないですし工夫次第で食べやすくなります。むしろ玄米の方がおいしく食べられるシーンもあります。減農薬でつくっているので農薬を気にされる方にも安心感があると思います。
Q.玄米の魅力を教えてください。
A.実際に私も食べていますが、甘みや食感があっておいしいと思います。もちもち感もありますし、私はぷちぷちとしたかみ応えが好きです。食べていると体調がよくなる感じもしています。
栄養価も高いですし、白米食よりも咀しゃくの回数が増えるという点でも健康にいいです。
ご自分で精米すれば7分づき・5分づきなどの分づき米や白米にしたりと、その日の気分で変えられるのも魅力ですね。ご自宅に精米機があれば新鮮なぬかも活用できてお得だと思います。
Q.ぬかの使い道はありますか?
A..ぬかは酸化が早いのですが、新鮮なうちにフライパンで炒ったりオーブンなどで加熱すると多少保存がききます。お菓子(クッキーなど)、お味噌汁やふりかけにプラスしてもおいしいですよ。
また、ガーデニングや家庭菜園の畑にぬかをまくと育ちがよく、野菜が甘くなります。この場合、生のままではなく熟成させてから使ってください。
昔はフローリングのワックスにも使われていました。ぬかをさらし(布)でぎゅっとくるみ床を磨くとツヤツヤになりますので、化学物質にアレルギーのあるお子さんのいるご家庭などにぴったりです。
Q.玄米を食べたことがないのですがアドバイスはありますか?
A.玄米も品種によって味わいが違いますので品種選びは大切です。私はミルキークイーンという品種が好きでおすすめしたいと思っています。
また、白米と違って味わいや風味に特徴があって食べづらさを感じる方、食物繊維が多いので慣れるまで消化不良をおこす方もいらっしゃるので、はじめは少しずつ食べてみてください。
おすすめしたいのは、白米に玄米を少し混ぜる食べ方。白米9:玄米1くらいからスタートしてだんだん増やしていくといいですよ。
記事の監修者
後藤 正人(ゴトウ マサト)
御稲プライマル株式会社
support@miine.co.jp
https://miine.co.jp/